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営業職から経営支援へ転職—13社の経営支援から見えた伴走者の在り方—株式会社ビジネス・デザイン 山田 正樹

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目次

神奈川県相模原市に拠点を置く株式会社ビジネスデザインで働く、営業職から未来会計プランナーへ転身した若手社員が語る「中小企業支援×会計事務所キャリア」のリアル。経営計画支援を通じ、13社に寄り添ってきた“経営支援の専門家”としての役割と、未来会計の可能性に迫ります。

税理士法人りんくグループ
株式会社ビジネス・デザイン
山田 正樹

1987年生まれ、2017年入社。 大学卒業後、不動産販売会社を経て現職。入社当初からMAS監査専任担当者としてキャリアを積む。現在、MAS監査担当先は13社。製造業をはじめ運送業、不動産賃貸業、弁護士事務所等幅広い業種の顧問先を担当。 近年は、後継者育成のニーズから後継者育成をテーマとしたMAS監査も受注している。また、経営者向け全4回のセミナー「FUCHINOBE経営大学」や顧問先の後継者を対象としたワークショップを企画・開催。

転職の原点は経営支援をしたいという想い

Q.会計事務所を職場として選ばれた理由を教えてください

大学時代から経営コンサルティングに興味がありました。経済学部でしたが、経済学よりも経営学の授業ばかり受けていたほどです。しかし、職業として経営コンサルタントになるにはハードルが高いと思い、新卒時には経験してみたいとの気持ちがあった営業職として就職しました。新卒から29歳まで不動産の営業を経験した後、改めて経営コンサルティングを行いたいと思い、現在の事務所に入社しました。

Q.改めて経営コンサルティングを行いたくなったのは、何故ですか?

転職の直接的な理由は勤務先の倒産でしたが、営業という仕事に漠然とした不安を感じていたのも事実です。仕事自体にやりがいを感じてはいましたが、土日休みではないなど、小さな不満が積み重なっていたように思います。職種の変更を考える際、学生時代にやりたいと思っていた経営コンサルティングへの思いに立ち返りました。

転職活動を始めた当時は30歳直前だったので、いわばラストチャンスとしてコンサル会社の面接を受けていました。会計業界を最初から視野にいれていなかったです。その中で、経営支援という事業内容に惹かれ現在の事務所に入社しています。これまでは会計業界に縁が無かったため、入社してから財務諸表・決算書を作成する中で学んでいきました。

Q.現在の事務所では、どのような業務を手がけていますか?

主に、経営者を対象として数字をベースとした計画作成の業務を手がけています。中期計画・単年度計画の作成とその進捗報告などです。お客様によっては、資金の工面に関する相談も受け付けますし、人材育成に関する話を行う場合もあります。毎月2時間ほど社長と会話して計画を一緒に作り、様々な課題に対応するのが基本的なルーティンです。

Q.継続的に関わっている経営者/会社の数は現在どれぐらいですか?

私が担当させていただいているのは、現時点では約13社です。始めてみて感じたことは、未来会計は永続していくことが前提なのでそこがコンサル業とは違うところかなと感じています。

Q.ビジネスデザインさんで現在提供されているサービスは、どのようなラインナップですか?

基本は、未来会計です。いわゆる定例的に社長と経営会議を行って月額の報酬を頂くサービスがメイン商品となっています。その上で、毎月の支援だけでは対応し切れない課題、例えば事業承継のような課題には別の部署がソリューションを提供し連携しています。スポット的に、経営理念の見直しや企業の行動指針、いわばクレドの作成などをご支援することもありますね。

お客様によっては、幹部の方々と合宿形式で目標/KPI/アクションプランなどを策定するサービスも提供しています。どちらかといえば、多様な商品で多くのお客様を獲得するより、支援中のお客様に深いサービスを提供しています。


3社の支援事例

Q.ご支援する中で印象に残っているお客様をお聞かせください。

社員の方もサポートすることで目標達成されたお客様がいらっしゃいました。そのお客様は、現在の私の上司が未来会計の担当者から引き継いだお客様です。弊社セミナーで中期計画を立案してからご縁があります。社長さんは計画を立てた時から、人材を育成すれば必ず目標達成できるとおっしゃっており、社員の方に対する信頼が熱い社長さんでした。

主なサポート内容は、実績による現在地を毎月共有することです。例えば、売上分類をカテゴリごとに分け、そのカテゴリごとに目標設定、実績の進捗確認、軌道修正の提案をおこなったり、利益率をあげるために粗利の意識を社員の方に持っていただけるように働きかけたりしました。

その結果、計画に1年遅れながらも見事目標を達成され、社員の方にも大事なのは売上ではなく利益であるという意識が浸透していきました。そして5年後には計画していた数字を達成されました。

経営計画は作成して終わりではないため、完了した時特有の達成感は感じにくいです。そのため、成果が実績としても表れるのを見て自分のことのように嬉しく感じました。

未来会計プランナーとしてのやりがい

情報共有と起動修正のサポートによって状態が改善していったお客様がいらっしゃいました。こちらのお客様は経営スタイルが独特で、社長は全てを現場に任せ、工場長と営業部長が実質的に会社を回している状態だったと思います。私は現場のお二人に向けて、決算書の見方や見積もりの単価の設定を上げる方法、コスト意識などについて一度お話をしました。

すると、コストを見直したり経営の変化を数字で追うようになるなど現場で数字をコントロール出来るようになり、結果として二期連続の営業赤字が黒字に転換したのです。会社の情報を共有するだけで状態が変わる様を目の当たりにして、とても驚いたのを覚えています。会計事務所は数字のプロとして、その知識を提供できることが強みだと思いましたね。

Q.他に印象に残っているお客様はいらっしゃいますか?

入社して最初に未来会計の契約を頂いたお客様は、よく覚えています。中期5か年計画を作成するセミナーで担当したお客様でした。参加されていた取締役の方が未来会計の考え方に共感してくださり、社内で展開したいとの想いから社長を説得していただいたおかげで契約が実現しました。

月に1度経営者の方を交えて、数字の共有や、経営理念の見直しをファシリテーターとしてサポートいたしました。お忙しい経営者との情報共有の場として価値を感じていただけたように思います。その後、ご支援は一度途切れたのですが、一年後に社長が急逝された際に相談を受け再び支援を開始いたしました。

大変な事態に直面された際に、最初に相談してくれたのが我々だったと知り、やりがいを感じた瞬間でもありました。

組織として支援する姿勢が経営者にとってふさわしい相談相手に

Q.どのような関係性が、大変な時のご相談につながったとお感じですか?

組織として支援している弊社の姿勢が、先方に伝わったからだと考えています。私が分からないことでも他のメンバーが対応できるため、「相談するにふさわしい相手」としてお客様の選択肢に残れたのではないでしょうか。

未来会計を提供している姿勢に共感いただけたのも、大きかったかもしれません。本当に未来会計をご評価してくださるお客様でしたので、結果的に会社としての信頼にもつながったと思います。こうしたお客様に一人でも恵まれると、救われる思いです。

Q.未来会計プランナーという職業の価値・魅力・将来性についてどのようにお考えですか?

ポテンシャルは高いと考えています。そもそも、未来会計はあらゆる会社運営に必要な機能であり、誰もがマネジメントとして実践していると思うんですよね。それこそ、自動車にエンジンやタイヤが必要であるように、経営計画が無いと会社は上手く回らなくなってしまいます。

しかし世の中の認知度は、まだまだ高いとは言えません。ポテンシャルは高いけれども、訴求の方法には課題があるように思います。未来会計を売るというより、「会社にとって必要な機能」という打ちだし方で訴求すれば、未来会計を必要としているより多くの人達に届くのではないでしょうか。


未来会計のスタートは初めの1歩から

Q.会計業界を志す学生・中小企業経営者・全国の会計事務所へメッセージ

全国の会計事務所へ

未来会計は、まず一歩を進めることが大事だと思います。いままでやったことがないことをすることに、できる自信が持てないという場面があると思います。そういう時は少し軽く考えて、最初から百点満点のサービスを提供できなくても、社長に案を出してみたらいかがでしょうか。

「そうじゃないよ」ってなったときは「じゃあ修正しよう!」と軌道修正するようにまずはやってみるのがすごく大事だと個人的には思います。そうやって前向きに考えていくことで私は未来会計を続けることができていると思います。そして、その姿を社長は見てくれていると思っています。これから未来会計の仲間が増えていくと嬉しいですね。

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インタビューをした人
渡邉 駿介