「対話」と「思考」を重視した伴走支援!自らも未来会計に取り組み得た、さまざまな成長――株式会社三宅会計 三宅 桂輔
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岡山県岡山市で会計・税務を中心としたサービスを提供する、「株式会社三宅会計」。代表の三宅氏は、祖父が創業した会計事務所の3代目として、2023年に事業を承継しました。地元・岡山県の企業の発展に向け、未来会計の提供を精力的に行っています。三宅氏が「未来会計」に取り組む想いや、可能性を深堀りしたインタビュー記事です。1社でも多くの経営者に届けたい一記事です。
株式会社三宅会計 代表 三宅 桂輔会計士の資格を取得し、大学卒業後は東京で監査法人に就職。2022年、事業承継を視野に入れ地元・岡山県にUターンする。2023年、祖父から続く三宅会計の3代目代表に就任。自らと同じ事業承継を検討する経営者を中心に、幅広い地域企業に「未来会計」による経営サポートを行う。 |
理系学部から一転、会計を学び3代目として事業承継
Q.三宅先生は三代目とのことですが、事務所の歴史をお聞かせいただけますか。
1960年に、公認会計士だった祖父が岡山県で会計事務所を創業しました。祖父は戦後、さまざまな仕事をしていましたが、もともと商業学校を出ており、会計士の制度ができ始めたときに資格を取得しました。税務署勤務を経て、開業したと聞いています。
開業後、10年くらいで法人を立ち上げ、父が二代目として事業を承継しました。私は三代目として、2年前に父から承継し、現在は従業員13名で運営しています。
Q.歴史ある会計事務所ですが、はじめから事業承継するご予定でしたか?
はじめは会計業界に進もうとは思っていませんでした。祖父が亡くなったのが、大きなきっかけだったかもしれません。
大学は理系の農学部に進学しましたが、2年生のときに祖父が他界しました。その頃、大学の講義にもあまり身が入っていなかったこともあり、「進路を変えようかな」と考え、文系学部への編入試験を受けました。無事編入できた頃から、資格取得に向けた勉強も少しずつ始めました。
農学部時代は自然科学を専攻していましたが、自由なテーマで研究するのが基本でした。一方で、法律や会計等、一定のルールや規則などの枠組みがあるなかで探究していく学問の方が、私の性に合っていると感じました。突き詰められるものの面白さに気がつけたのも、会計業界を目指そうと思ったきっかけの1つですね。
Q.大学卒業後は、すぐにお父様のもとで働かれたのですか?
卒業後は、東京で就職をしました。監査法人に何年か勤めていて、はじめは「このまま東京にいてもいいかな」と考えていました。父と自分は性格が違う部分もあるため、当時は一緒に仕事をするイメージが湧きませんでした。
しかし、数年前に「父もだんだんと歳を重ねてきたな」と感じたこともあり、従業員もいるので「事業承継も選択肢の1つかな」と思うようになりました。東京で家族や友人もでき、生活基盤はしっかりとしていましたが、2022年に思い切って岡山に戻りました。そこから1年で業務を引き継ぎ、事業承継して現在に至ります。
未来会計の魅力は「立ち止まって、集まって話せる」こと
Q.「未来会計をやっていこう」と思った理由をお聞かせいただけますか。
「面白そう」と感じたのがきっかけですが、だんだんと「使命感」のようなものを抱き、「やっていこう」と思いました。
未来会計やMAS監査は、事務所で注力していることの1つだと、岡山に戻るタイミングで聞いていました。しかし、それまであまり耳にしたことのないワードでしたので、「MAS」と書かれた紙を渡されても「これは何だろう?」という感覚でした(笑)。
その後、自分でいろいろと調べていくうちに興味を持って、深く知るための情報収集をするようになりました。ときには未来会計に力を入れている会計事務所の見学にも足を運び、具体的な事務所経営や未来会計のヒントを得ていました。
様々な同業界の先生方と交流する中で、「会計事務所だからこそできる経営支援がある」という発想を得られたことが、私が「未来会計をやろう」という強い使命感につながったと思います。
Q.事務所の事業承継後、今だから話せる苦労はありましたか?
ありましたね(笑)。基幹業務である税務以外にも、父の代から未来会計を提供していて、私が引き継ぎました。
しかし、当時は未来会計の取り組みは属人的な部分が多く、一部の社員が知っている程度でした。また、組織の根源となる税務や会計の品質がまだ不十分だったこともあり、はじめはお叱りをいただくこともありましたね。
最初の1年は謝っていた記憶しかないくらい、ずっと色々なところに謝罪に行っていました。その頃は本当につらくて、「今日もまた謝罪に行きます」と言いながら家を出て、妻にも心配されたほどです。その経験のおかげで、会計・税務の基本を担保する仕組みの重要性に気づき、仕組みづくりを試行錯誤しはじめました。
業務フローを作って業務内容を可視化する、チェックリストでミスを防ぐといった取り組みを少しずつ進めて、付加価値である未来会計を提供するための土台ができあがってきたと感じています。
Q.三宅先生が認識されている、税務と未来会計の違いをお聞かせいただけますか。
日々、走り続けている経営者と一緒に、一度立ち止まり、集まって会社の経営について客観的に話すことができる点です。長期的な目線を持って、必要なことを話したり、未来から逆算して「今やるべきこと」を考える機会は、意外と多くありません。
特に、家族間での事業承継では集まって話す場が作られるケースは意外と少ないです。しかし、話をするなかで、それぞれの本音が聞けたり、家業のビジネスモデルを知ることや未来についての考え方のすり合わせができたりします。そういう場が作れることは、税務の領域を超えて、未来会計だからこそできる付加価値であり、面白い部分だと思いますね。
Q.「未来からの逆算」は、1つの大きなテーマなのでしょうか。
そうですね。早い段階で今後のことを話し合いながら、将来から逆算して考えることは大切です。
目の前のことだけやっている企業は、存続する力が弱くなってしまいます。赤字で存続する力がない会社を、子どもに「継いでほしい」とは言いづらいものですよね。そのような会社が、経営者が年を重ねて初めて「事業承継をどうするか」を検討すると、選べる未来は少なくなります。
未来会計が広がれば、このような企業が減り、地方にも「働きたい」と思える魅力的な会社が増えていくと思います。
Q.未来会計は、社内にも浸透してきているのでしょうか?
浸透するように意識した組織運営をしているので、徐々に浸透してきていると感じています。
やはり、1人で心の中で「未来会計は面白いものだ」と思っていても、誰もついてきてはくれません。情報発信や周囲を巻き込む機会がないと広がっていかないなかで、社内への浸透の大きなきっかけとなったのは、MAP経営さんが主催する研修でした。
未来会計に取り組む事務所が月に1度広島に集まり、成果報告や勉強会を行う場に誘っていただき、従業員と一緒に2年程、参加しました。ほかの事務所の方とも切磋琢磨しながら、同行した従業員が未来会計について知ることができたので、よかったなと思います。
自社でも未来会計に取り組み、サービス提供に学びを生かす
Q.未来会計は目に見えない商品のため、周りの理解を得るのにも時間がかかったかもしれません。三宅先生が事務所のメンバーに広げている中で大切にされていることを教えてください。
まずは自分達がこの未来会計を組織運営に取り入れ、実践することです。「未来会計をやりましょう」とご提案する際に、「先生はどのようにやっているんですか?」と聞かれても答えられないということは、あまりよいとは思っていません。
そこで、私が大切にしていることは、「まず自社で未来会計をしっかりと行う」ということです。計画を立て、発表する場を作り、署名・捺印した資料を従業員に配布し、計画に対しての振り返りまで徹底して行っています。決して楽ではありませんが、未来会計は目に見える商品ではないため、自分たちが体感してよいと感じてはじめてお客様にも自信を持ってご提案できるようになると思います。
未来会計の実例を示すことが従業員の理解促進にもなると考えながら、今も改善を繰り返しながら日々取り組んでいます。
Q.実際に未来会計を提供されるなかで、印象に残っているお客様はいらっしゃいますか?
街の電気屋さんが印象に残っていますね。未来会計を始めた初期の頃のお客様で、元々は年に1度だけ決算後に申告書を作成し、説明をするだけでした。決算を迎えた後に「うちの会社は赤字だったのか」と社長が把握するような状況でした。
前任から私が引き継いだ際に、「数字をタイムリーに見られるようにして、資金繰りをよくしていくための計画を一緒に立てていきましょう」とお話をさせていただきました。社長もその提案に納得していただき、具体的な将来のビジョンを見える化し、従業員の方にも共有するお手伝いをさせていただきました。立てた計画の進捗管理も、数字と行動計画に落し込み、行動の検証をしていく中で、少しずつ黒字化が見えてきました。
Q.黒字化へ!具体的にタイムリーに見ていたのはどのような所ですか?
「売上や経費の中身を見ていく」ことですね。売上を構成している内訳を、大型家電や小型家電の販売、リフォーム工事などに区分けして、「この製品の利益率はどれくらいか」を明確になるようにしました。その数字を元に、「キャンペーンではこの製品を押し出していこう」と行動変化も起こり、よい結果につながったのかなと思います。
ほかにも、人件費をはじめとした経費を見直していくなかで、少しずつ黒字に向かっていったように感じます。抜本的なコンサルテーションを提供した訳ではなく、「会社の将来を見据えてタイムリーな現状把握を月に1回社長と面談する」と中身はシンプルなように聞こえますが、ここに数字に強い会計事務所が伴走して差し上げられたことが、確実な黒字転換に繋がったと感じています。
未来会計で、地方企業の事業承継を応援したい
Q.ここからは、三宅先生のビジョンをお聞かせください。未来会計を、どのような方に提供したいですか?
事業承継を検討している、中小企業様です。私自身も事業承継をし、「次の代が会社を存続していく」ことは、すごく価値があることだと感じました。
経営には、短期的・長期的双方の目線が必要です。将来的なことを考えながら、短期的な利益や従業員の給料など、目の前のことにも注力しなければなりません。しかし、特に家族経営の場合は、「家族」としての関係性とビジネス上での関係の利益が相反する部分も大きく、経営面での悩みも多いように感じます。
しかし、そのような境遇のなかでよりよい経営を行うことは非常に価値が高いことだと思います。また、跡継ぎ企業の発展は、その会社はもちろん、地方にとっても大きな影響をもたらす可能性があるものです。未来会計を早い段階でスタートしていただければ、未来を描いて逆算し、経営について話し合う場・考える時間を作ることが習慣化します。より多くの経営者の方に未来会計の考え方を取り入れていただけるよう、私は税理士ならではのお手伝いで地方の跡継ぎ企業を支えていきたいですね。
Q.税理士の先生だからこそできる、サポートがあるのですね。
はい。税理士は普段から経営者の方と接する機会が多く、事業承継のご相談もいただきやすい立場です。我々が過去だけを見てただ申告書を作って満足していては、経営者の方のよりよい未来にはつながりません。未来会計は、伴走支援でお客様と一緒に頑張れるものですから、広がっていったらよいなと強く思っています。
企業の成長を目指す経営者へのメッセージ
Q.中小企業の経営者に向けて、メッセージをお願いします。
私は、未来会計を広げていくためにはまず自分自身が率先して行動し、模範を示すことが大切だと感じました。そのために学び、売上や利益を出すことはもちろん、人としても成長できた部分があると実感しています。
未来会計は経営をよくするだけでなく、経営者の成長も促します。さらに、そこで働く従業員が成長できる環境にも寄与するものでもあり、私自身「やってよかった」と胸を張って言えます。
私の目標は、岡山を中心に、中四国地方で未来会計をさらに広めていくことです。事業承継を検討されている方はもちろん、経営に関するお困りごと、悩み事を抱える経営者の方は、ぜひ一度ご相談いただけたらと思います。