「数字の先」を共に見つめる、地域を支える経営コンサルティング――千葉経営企画株式会社 千葉 俊
目次
宮城県塩竈市を拠点に、地域の中小企業を力強くサポートする千葉経営企画株式会社。
代表の千葉俊氏は、父が経営する会計事務所への入社を機に会計業界へと足を踏み入れた。東日本大震災の経験や、数々の経営者との出会いを通じて「地域社会を支える中小企業の力になりたい」という想いを持った千葉氏が、中小企業診断士として「未来会計」を通じた伴走支援を行うなかでの想いやこれまでの経験を、ざっくばらんに語ります。

千葉経営企画株式会社 代表 千葉 俊 高校卒業後、2010年に宮城県塩竈市へ帰郷し、父親が創業した千葉和彦税理士事務所で税務・会計の基礎から実務を経験する。2021年に中小企業診断士の資格を取得し、補助金支援や経営計画策定などに注力。2024年、千葉会計グループ法人化に伴い、千葉経営企画株式会社の代表に就任。現在は「想いをもった経営者が、未来をひらく社会に。」をビジョンに掲げ、「未来会計」を中心に、企業の目標達成を後押しする伴走支援に尽力している。 |
お笑い芸人への挑戦から、地元・塩竈で会計の世界へ
Q.これまでのキャリアと現在の活動について教えてください。
2010年に父が創業した千葉和彦税理士事務所に入社し、その後、現在の千葉経営企画株式会社の代表に就任しました。
現在千葉会計グループは、税理士法人とコンサルティング会社である千葉経営企画に分かれています。私は税理士資格を持っていませんが、中小企業診断士の資格は取得しており、千葉経営企画では主に「経営支援」を中心に取り組んでいます。税務や会計の枠だけでは補い切れないようなお客様の幅広いニーズにお応えできるよう、さまざまな角度から経営のサポートをさせていただいております。
Q.会計業界に入る前は、どのようなことをされていましたか?
実は、お笑い芸人を目指していました。高校卒業後に上京し、5年間ほど活動していた経験があります。
子どもの頃からお笑いが大好きで、「いつかそういう道に進んでみたい」という想いを持っていたので、大学には進学せずお笑いの養成所に入りました。振り返れば、大学に通いながらでも挑戦できたなと思うのですが、当時は「後先を考えずに思い切って勝負したい」という気持ちだったのだと思います。
東京で5年ほどさまざまな活動をしていましたが、やはり難しい世界で鳴かず飛ばずでした。当時組んでいたトリオの解散が、地元・塩竈に帰ってくる大きなきっかけとなりました。
Q.異色のキャリアからスタートし、入社当時は苦労もあったのでしょうか。
そうですね。地元に戻ったばかりの頃は、周りから「東京敗残兵」や「落ち武者」のような扱いを受けました(笑)。
地元の人たちの厳しい言葉に、「失敗して戻ってきた」というネガティブな気持ちを抱きましたが、今となってはそれも良い経験だったと前向きに捉えられます。
当時、会計の仕事は未経験で、入社の理由も「父親の会社だったから」というのが本音です。入社前に日商簿記2級を取得し、入社後には会計業務を一通り教えてもらいながら経験を積んでいきました。日々さまざまな中小企業様とお仕事をさせていただくなかで、会計業界の仕事のよさが徐々に見えてきました。
例えば社長様のところへ行き、「お財布を見せてください」とお願いする仕事は、数ある仕事のなかでも多くはありません。さまざまな職種や業界の裏側を知れるのは、この仕事ならではの大きなおもしろさだと感じています。

地域を支える熱意と、忘れられない「最後の正装」
Q.会計事務所の仕事を通じ、経営者からどのような影響を受けましたか?
「地域の力になりたい」と、強く思うようになりました。
入社前はアルバイトしか経験がなく、社会保険の仕組みすら知らない状態でした。世の中がどういう仕組みで回っているのかを新鮮な気持ちで学ぶと同時に、中小企業や零細企業が地域社会を支えていることを肌で感じました。
塩竈市だけでなく、多賀城や仙台などの周辺地域も、小さな企業が力を合わせることで盛り上がりにつながっています。そして、社長の皆様がそれぞれにプライドと熱い想いを持って経営されている姿に影響を受けました。
資金繰りが苦しいお客様をご支援するなかで、厳しい状態から少しでも前向きな方向に転換できた経験も、貴重なものでした。融資が受けられたり、業績が上向きになってきたというご報告を頂いたりすると、心から「よかった」と感じます。地元で地道に頑張っている中小企業を応援したいという気持ちは、仕事を通じて得られたものだと思います。
Q.特に印象に残っている経営者のエピソードはありますか?
私が入社して1年目くらいに駆け込みでいらっしゃった、80歳くらいの社長様です。個人事業で、ずっと自力で確定申告をされていたそうですが、年齢を重ねて大変になり「最後の確定申告になるからお願いしたい」と、ご依頼を頂きました。
その社長様が最初に来られたときは、着古した作業服を着ていらっしゃいました。私が担当となって申告書をお渡しする日、社長様は「今日、廃業届を出してきたんです」とお話ししてくださったんです。そのとき、作業服の上にスーツのジャケットを羽織られていました。
あのとき社長様は、ご自身の会社の最後の日を迎えるにあたり、持っている限りの正装をしてこられたのだと思います。その姿を見たとき、ジーンと胸に込み上げるものがありました。「こういう社長のために、少しでも支援ができる存在になりたい」と強く思ったことを、今でも鮮明に覚えています。
Q.入社翌年には東日本大震災をご経験されていますが、キャリアに影響はありましたか?
「お客様を支援するために、もっと力をつけなければいけない」と強く決意するきっかけになりました。
東日本大震災は、私のなかで非常に大きな出来事でした。2010年の10月に入社し、わずか5ヶ月後の2011年3月に震災が起き、地元・塩竈市も甚大な被害が出ました。
当時は入社したばかりで、お客様と密接に関わる立場ではありませんでしたが、人的被害や経済的被害を目の当たりにし、命の重さを痛感しました。新しい融資制度などが次々と発表される中で、未熟な自分、末端職員としても「非常事態にお客様に対してできる支援は何なんだろう」と深く考えさせられたことを覚えています。

税務会計から経営支援へ。中小企業診断士としての新たな挑戦
Q.会計業界に入ってから、どのようにステップアップされてきたのでしょうか。
徐々にステップアップし、キャリアが大きく変わってきたのはここ2〜3年のことです。
20代の頃は、会計事務所で「月次巡回監査」を担当していました。毎月お客様のところへお伺いし、月次監査をして、業績のご報告をする業務です。試算表を作って解説したり、決算書の申告をサポートしたりと、いわゆる税務・会計の支援を中心に行っていました。
その業務を通じて税務の知識をしっかりと学んだあと、2021年に中小企業診断士の資格を取得しました。その後は補助金の申請支援や、経営計画の策定支援などに力を入れるようにシフトしていきました。
現在はMAS監査を中心に、本格的に経営コンサルティング事業を展開しています。
Q.会計事務所での経験は、コンサルティング業務にどのように活きていますか?
円滑な経営支援に、税務・会計の知識や経験が非常に活かされています。経営の基本となるのは「財務」です。財務がしっかりとまとまっていなければ、何も進められません。
例えば補助金の申請をする場合も、日々の会計処理が正しく行われ、確定申告や決算が正確に終わっていなければ、申請をすることはできません。税務・会計のベースがあるからこそ、その先の経営支援が行えるのだと常に実感しています。
Q.融資や補助金支援と、「未来会計」による伴走支援の違いは何でしょうか。
最も大きな違いは、「継続的な支援」の有無です。
融資を受けたり補助金を受給する際には、経営計画書を作成して提出する必要があります。しかし、融資や補助金を受けること自体が目的となり、計画書を作って終わりになっているケースは非常に多いのです。その結果、せっかく受けた融資をすぐに溶かしてしまったり、補助金が事業の発展に繋がらなかったりするケースは少なくありません。
本来、補助金や融資は事業を発展させ、伸ばしていくために受けるものです。「もらいっぱなし」で終わってしまっては、会社のためになりません。
弊社では20年以上前から「将軍の日」という経営計画策定教室を開催しています。しかし、作った日にしか経営計画を見ない社長様が多いのも実情です。そのため、作った計画に対してのモニタリングや、目標達成に向けた道しるべとしての活用が十分にできていないという課題を感じていました。
経営計画を実現し、会社を発展させていくためには、毎月の業績管理と目標達成のための継続的な伴走支援が必要不可欠です。それが、現在行っている「未来会計」の原点だといえます。

「作るだけ」で終わらせない、伴走支援の重要性
Q.千葉さんご自身も、自社の経営計画や目標管理に取り組んでいらっしゃるのでしょうか?
はい、自社の経営計画にもしっかりと取り組んでいます。
実はいま、MAP経営さんが主催している「大合戦の日」(※注1)に毎月参加し、自社の毎月の目標管理を行っています。自分たちだけで計画を立てるだけでなく、外部の方と一緒に取り組むことで、目標に向かう熱量が大きく変わってくると感じます。
Q.取り組みのなかで、目標管理の効果をどのように実感されていますか?
特に感じるのは、従業員のモチベーションアップです。
正直なところ、今年立てた目標にはまだ到達しておらず、現状は遠い位置にあります。しかし、「絶対に達成してやろう」という気持ちは全くブレていませんし、私だけでなく従業員のモチベーションにもブーストがかかってきています。
数字としての結果がまだ表れていなくても、数字を変えるためのアクションを起こそうと社員が自発的に考え、動いてくれるようになりました。これは、非常に大きな成果だと思います。
経営計画を実行するうえでの最大の敵は、「面倒くさい」という怠慢です。これは人間なら誰しもが持っている弱さだと思います。本当に意志の強い人であれば、スケジュール通りに毎日1人でタスクをこなせるかもしれませんが、私を含め、多くの方は1人でやり切るのはなかなか難しいのではないでしょうか。
だからこそ第三者に入ってもらうことが大切です。ある意味、強制力を持って毎月チェックする仕組みを作ることが、目標達成には非常に大事なのだと実感しています。
Q.お客様の経営計画をサポートするなかで、感じる効果はありますか?
社長様がお一人で抱え込むのではなく、社員の方々を巻き込むことで組織全体が大きく変わっていくことです。
当社では単に計画を立てるだけでなく、毎月「予定している予算」と「実績の数字」を比較する進捗管理を基本としています。
これまでは「将軍の日」を通じて、社長や役員など経営陣中心で計画を策定・管理されていました。しかし最近は、その毎月の管理会議に現場の社員さんにも参加してもらうケースが増えています。
一緒に数字のモニタリングを行うことで社員の皆様の数字意識が高まり、最近では「社員教育の一環として活用したい」というご要望や効果を実感される声も増えてきました。こうした組織全体の変化こそが、サポートによる大きな成果だと感じています。
黒字率100%の社会を目指し、地域企業の成長をサポート
Q.今後のビジョンを教えてください。
私は、日本を支えている中小企業の皆様が黒字になれば、社会全体が必ずよくなると信じています。そのため、経営計画の策定や「未来会計」のサービス提供を通じて、「赤字企業のない、黒字率100%の社会」をつくるお手伝いをしていきたいです。
また、YouTubeでは「とびだせ!千葉会計の将軍くん」と題したチャンネルで、実践的な経営計画の立て方や経営改善のノウハウを発信しています。あと、会計に全然関係ないエンタメ寄りの動画も出しているので、そちらも注目してほしいです。チャンネル登録者数1万人突破も目標として掲げ、より多くの経営者様に役立つ情報をお届けしていくこともビジョンの1つです。
最後に、中小企業の経営者へ応援メッセージをお願いします。
私たちは、税務や会計のサポートを行うのはもちろんのこと、それ以上の価値を提供したいと考えています。社長様に寄り添う一番身近な存在として、継続的な伴走支援でお悩みを解決してまいります。
「資金繰りが悪く、すぐに費用を用意できないかもしれない」という状況でも構いません。まずはお気軽にお声がけ・ご相談いただきたいです。
中小企業の社長の皆様、一緒に地域を盛り上げていきましょう。
※注1 「大合戦の日」 とは、「自社MAS監査」を軸に、未来会計業務を事業化するための“チームで実績を作る”年間プログラムです。