「問題」を「課題」に変え、解決の一歩を共に踏み出す!未来会計で経営者の伴走支援を——税理士法人常陽経営 西原 亮
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福島県いわき市にある、税理士法人常陽経営。代表の西原氏は大手コンサルティング会社で経験を積み、二代目として事業を承継しました。現在は税務支援に加え、お客様の経営計画策定や伴走支援を行う「未来会計」にも力を入れています。二代目経営者として、組織変革への反発や業績低迷に直面した経験があるからこそ、孤立しがちな経営者の痛みに深く寄り添えると西原氏は言います。『問題』を『課題』に変え、経営者と共に解決の一歩を踏み出す——その伴走支援の実践と想いを届けます。

税理士法人 常陽経営 代表 西原 亮 いわき市を中心に中小企業の成長を支える税理士法人代表。 単なる税務申告にとどまらず、MAS監査や「未来会計」を通じた5年先を見据えた経営計画の策定、伴走型の財務コンサルティングに注力し“お客様とともに利益を生み出せる仕組み”を整えることを目指す。 経営者と同じ目線に立ち、同じ方向を見て、本音で語り合える関係性を築くことを大切にして、財務・経営の両面から力強くバックアップする。 |
公認会計士資格を取得するも、コンサルティング業界へ
Q.これまでのキャリアを教えてください。
大学の授業で簿記や管理会計を学ぶなかで、会計のおもしろさに気づきました。就職活動の時期に公認会計士を目指すことを決意し、大学院へ進学して試験に合格しました。
通常、公認会計士の資格取得後は監査法人へ進むことが多いのですが、私が合格した年は合格者2,000人に対して、監査法人の採用枠が700人しかありませんでした。私は「コンサルティング業務に挑戦したい」という思いもあり、監査法人の面接で「コンサルティングがやりたい」と主張し続けた結果、採用には至りませんでした。
しかし新卒採用枠を活用し、大手コンサルティング会社に入社することができました。そこでは証券会社の会計システム構築や管理会計の高度化プロジェクトを担当し、一貫して会計関連のコンサルティング業務に携わりました。

Q.その後税理士業界へ移り、常陽経営を承継されたのですね。
はい。妻の父親が常陽経営の創業者だったことが、承継のきっかけです。
妻とは、公認会計士の勉強をしていた大学院時代に出会いました。結婚後、「事務所を継がないか」と声をかけてもらい、いわき市へ移住し、私が二代目として経営を引き継ぐことになりました。
税理士法人に入ってからも、システムを活用した業務効率化や管理会計の知見など、コンサルティング会社での経験は大きく役立っています。自社の経営やお客様の支援に活かせるのは、強みの1つです。
専門特化した組織体制と「未来会計」との出会い
Q.現在はどのような組織体制で運営されていますか?
税務・相続・営業など、機能ごとに専門特化した組織体制を構築しています。主力事業は税務支援です。法人の税務に関わる部署を4つの課に分け、法人や個人事業主のお客様の税務申告や月次監査を担当しています。
近年は高齢化を背景に、相続に関するご相談も急増しています。ニーズに適切に対応するため、相続専門の部門を独立させました。その他にも、営業部門、マーケティング部門、システム担当部署、総務部門を配置し、各分野の専門性を高めています。
Q.西原さんは、どのような業務を担当されていますか?
代表として経営全体の舵取りを行いつつ、未来会計やM&Aなどの付加価値業務に自ら入り込んでいます。
税務支援のメイン担当や、職員が作成した申告書のチェックなども行いますが、経営課題の解決に直結する、クラウド会計システムの導入サポートや伴走支援により注力しています。お客様と共に経営をよくしていく取り組みは、さまざまな業務のなかでも特に重要だと思いますね。
Q.「未来会計」に本格的に取り組むようになったきっかけをお聞かせください。
私自身が「管理会計の実務経験を活かせる分野だ」と確信したためです。
実は、先代の頃から未来会計のシステムは導入されていましたが、全く使われていませんでした。しかし、MAP経営の担当者さんから私が未来会計のサービス説明を受けた際、「自分が学んできた管理会計の仕組みだ」と直感しました。
私はコンサルティング会社出身ですので、過去の数字をまとめるだけの税務業務に留まるつもりはありませんでした。経営に役立つ管理会計を導入し、システムによる効率化を目指したいと考えていたので、「自社で導入すれば、自分も楽しいだろう」と感じたことが、未来会計を本格的にスタートさせる大きな理由となりました。
Q.管理会計のおもしろさは何だと思いますか?
絶対的な正解が存在しないことです。
大学院時代に、ゼミで企業のKPI(重要業績評価指標)をどう設定するかについて、ディスカッションを行いました。財務会計や税務には、法律に基づく明確な正解がありますが、管理会計の正解は1つではありません。
議論する人や企業の状況、経営者のビジョンによって、取るべきアクションは全く異なります。「会計には正解がある」と思い込んでいた私にとって、正解のない世界は非常に魅力的に映ったことを今でも覚えています。

赤字計画から黒字化へ。経営者の意識を変える伴走支援
Q.未来会計を通じた支援で、印象に残っているエピソードを教えてください。
設備工事業の会社様の支援です。その会社の社長は二代目として事業を継ぎましたが、従業員の退職や業績低迷に深く悩んでいました。当初は「自分は何のために会社を継いだのか」と落ち込んでおり、会社のビジョンを全く持てていない状態でした。
そこで、「将軍の日」と呼ばれる中期経営計画立案セミナーにご参加いただきました。その際、私はあえて数字の話から入らず、「もし制限がなければ、どのような会社にしたいですか」とフラットに問いかけました。すると、「単なる設備屋で終わりたくない。暮らしを豊かにする設備のコンサルタントになりたい」と、社長の本音を引き出すことができました。
この話をした頃から社長は徐々に前を向けるようになり、具体的な行動計画や採用目標へと落とし込むことができました。
Q.実際の経営数値には、どのような変化が生まれましたか?
赤字スタートの計画を、黒字着地見込みにまで改善させることができました。
計画策定の段階では、物価高や人件費の高騰があり、昔の感覚のままでは利益が出せず、経費を限界まで切り詰めても赤字計画になってしまいました。先代である現会長も「昔なら500万円は利益が出た売上なのに、なぜ今は赤字になるのか」とショックを受けていました。
赤字計画ではモチベーションが上がらないため、私はあえて「無理やりにでも黒字化する」という高い目標を設定しました。すると、「自分が営業をもっと頑張らなければ」と、社長の意識が大きく変化しました。
その結果、「限界だ」と思っていた売上目標の110%程度を達成しました。また、当初はネガティブな発言が多かったものの、今は前向きに経営に向き合うなど、精神面の変化も生まれたように感じます。
Q.目標達成に向けたコミュニケーションで、意識されたことはありますか?
「問題」を「課題」に言い換えるようにして、伝え続けたことです。
毎月行っていた予実管理会議で、あるとき社長から「粗利が少ないのが問題だ」と報告を受けました。私はすかさず「それは問題ではなく課題です。1つずつ解決していきましょう」と返しました。
同じ内容でも、「問題」と言われると、指摘されているように感じて改善意欲が湧きません。しかし「課題」と言い換えるだけで、解決すべき目標として受け取ることができます。言葉を変えるだけで、立ち止まるか解決へ動けるか、大きな違いが生まれます。
社長にも問題を課題と捉えていただき、「材料費を下げる方法はありますか?」、「外注費を減らして自社でできませんか?」など、論理的に打てる手を提案し続けた結果、解決に向けた行動を取っていただけたのではないかと思います。

お客様の言葉から感じる、未来会計プランナーとしてのやりがい
Q.サービス開始当初、不安に感じることは何かありましたか?
「結果が出なかったらどうしよう」という、強い不安を抱えていました。
私自身、未来会計の経験が浅く、伴走支援は結果が約束されたものでもないため、「お客様にご満足いただけるだろうか」と悩むこともありました。しかし、その不安がお客様に伝わってしまってはいけないと思い、「今自分ができること」にとにかく必死で取り組みました。
お客様から答えを引き出すことはもちろん、自分自身の二代目としての実体験を伝えること、ときには行動量が足りない経営者を叱咤激励するなど、目の前の経営者のためにできることを、全力でやってきたように思います。
Q.経営者の理想と現実にギャップがある場合、西原先生はどう対応されますか?
やりたいこと自体は、絶対に否定しません。将来の目標に対して「現状のままでは難しい」という現実がある場合は、ギャップをどう埋めていくのかを一緒に考えます。
たとえば、「将来、新しいビジネスを始めたい」というビジョンがあっても、社長が現場に出続けていては実現は難しいといえます。そのようなときに私は、「社長が現場に出ていることが課題です。解決するために外注を使いますか?自社で採用しますか?」と、具体的に問いかけるようにしています。
今はできなくても、将来実現するための道筋を一緒に考えて提示することは、伴走支援の重要な役割です。
Q.サービスを提供するなかで、言われて嬉しかった言葉はありますか?
「先生が入ってくれたおかげで、今の自分たちがある」という言葉です。
先ほどお話した設備工事業の会社様は、過去最高の売上と利益を出せる体質になり、未来会計によるサポートが不要な状態になってきています。しかし、私たちをまだ必要としてくださっていて、大きなやりがいを感じています。
また、歯科医院の院長様とのエピソードも印象に残っています。その方は「将軍の日」にお誘いしたら、「歯科衛生士を採用する」という計画を立てられました。その後、ご自身で採用活動に励み、今まで一度も採用できなかった歯科衛生士の採用を実現されました。
未来会計のサービス提供には至らなかったものの、「セミナーに誘っていただき、本当にありがとうございました」とお声がけいただいたときは嬉しかったです。当法人のミッションである「人と社会の課題に寄り添い、解決の一歩をともに創る」という経営理念を体現できた瞬間であり、何物にも代えがたい喜びでした。
二代目経営者の苦悩に寄り添い、未来を共に創る
Q.二代目として経営に携わるなかで、大変なことはありますか?
経営の苦しさは、身をもって痛感していますね。
あるお客様が「経営は90%の時間が苦しくて、嬉しいのは残りの10%だ」とおっしゃっていましたが、まさにその通りです。人やお金の問題で悩むことが多く、心穏やかに過ごせる時間は少ないように感じます。
特に二代目経営者は、ゼロからの起業とは異なる難しさがあります。すでにベースができ上がっている組織を引き継ぐため、自分の理想と現実のギャップに苦しむことも少なくありません。組織を変えようとすれば反発が起き、従業員が辞めてしまうなど、成長の前は業績や組織力が下がる時期を経験します。この時期は本当に孤独で、辛いものです。
Q.経営者として、現場とのギャップにどう向き合っていますか?
「個人の問題」と捉えるのではなく、「仕組みの課題」として向き合うようにしています。
私自身、新しいことを進めるスピードが速いため、現場との間に生じる距離感には今まさに悩んでいるところです。当法人はもともと、担当者が1人で業務を抱え込みやすい文化がありました。そのため、今後はこの組織の歪みを解消するための仕組みを作っていきたいと考えています。
トップと現場を繋ぐ「右腕・左腕」のような存在を育て、現場の悩みを組織全体でフォローできるよう、コミュニケーションも大切にしていきたいです。
最後に、これから未来会計に取り組もうとする経営者へメッセージをお願いします
私も二代目として、組織づくりや理想とのギャップに苦しんでいます。だからこそ、お金や人の問題で悩み、精神的に辛い状況にいるお客様の痛みはよく分かっているつもりです。孤立しがちな経営者を1人にせず、横でしっかりと支えたいと強く思っています。
そうした想いから、同じ境遇にある二代目経営者の方はもちろん、理想と現実の狭間で苦しんでいる社長さんを全力で後押しし、理想に近づけるよう伴走いたします。利益が出ないときや人が辞めてしまうときも、「未来のために何ができるか」を一緒に考え、解決の一歩を作り出して成長していきましょう。