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所長・代表

AI時代における会計士の生き方「数字で不安を笑顔に変える」ー青山パートナーズグループ 馳 雅樹

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目次

東京都港区の「青山パートナーズグループ」代表・馳氏は、会計士としてのキャリアを経て、自らの理想を形にすべく独立。未来会計を通じて経営者の“伴走者”となる道を選びました。時代の変化に囚われない価値を発揮する会計人の在り方を、実体験とともに語ります。

株式会社青山パートナーズコンサルティング
代表パートナー・公認会計士・税理士
馳 雅樹(はせ まさき)

中央大学卒業後、アーサーアンダーセン(現あずさ監査法人)、辻本郷税理士法人で上場支援やコンサルティングを数多く経験。 青山パートナーズグループ代表として700社以上を支援し、100回以上の事業計画の立案に関与。上場企業社外役員(~2024年)や公益財団法人役員も務める。 北海道育ち、驚きの引越17回の経験で培われた「変化を楽しむ柔軟性」が魅力。美味しいものに目がない一面もあり。その確かな実績と親しみやすい人柄で、企業の未来づくりを力強くサポート。

独立のきっかけは「本格的な経営支援をしたい」想い

Q.会計業界に入ったきっかけについて教えてください。

高校時代から、企業の役に立つ仕事をしたいと考えていました。当時は、具体的なことは分からないながらも、公認会計士という仕事に漠然とした憧れを持っていました。大学に入学してすぐ資格試験合格を目指して勉強を始め、卒業した年に合格を果たしました。就職先を選ぶ際には、新しい取り組みに、より積極的なファーム(監査法人)がよいと考え、当時の世界8大事務所(ビックエイト)の一つアーサー・アンダーセン(現あずさ監査法人)に入職しました。

Q.アーサー・アンダーセン時代のことについて教えてください。

アーサー・アンダーセンでは6年半ほど監査の業務に関与していましたが、特に後半の数年間はIPOの支援にも数多く関与していました。当時は監査とコンサルティングをきっちりと分けるというよりは、会社が独り立ちするまでは伴走し、一緒に育てていくような感覚でした。非常にやりがいと魅力を感じられましたが、経営者の方々の事業意欲やバイタリティに強い影響を受け、より本格的な支援をするために税務の知識を身に付けたいと思うようになりました。

Q.現在の「青山パートナーズグループ」を立ち上げるまでの経緯を教えてください。

アーサー・アンダーセンから現在の辻本郷税理士法人の前身の本郷会計事務所に移り、5年ほど経験を積んでいきました。希望していた法人税務に加え、上場支援の仕事やオーナーの資産税務にも関与させてもらいました。次第に、成長意欲のある企業の支援をメインにしたいという意思が明確になり、自分の事務所を持ちたいと思うようになりました。独立の意思を大学時代の同期に話すと賛同を得られ、青山パートナーズグループの元となる共同事務所を立ち上げることが決まりました。

未来会計導入の経緯

Q.未来会計に繋がるきっかけについて教えてください。

今から14〜15年前、一般的な報酬の範囲内で、たくさんの企業の未来を応援できる枠組みを作りたいと思ったことがきっかけです。上場準備をしている企業に対する手厚い支援ならば、大きなエネルギーをかけた分の報酬を求めることもできます。しかし、成長過程の企業には、手厚いサービスに対する報酬を支払う余力がありません。成長意欲さえあればどのような企業に対しても、無理なく受け入れてもらえるような料金で最適なサービスを提供する方法を模索し始めたことが、未来会計に繋がっていきました。

Q.未来会計のシステム導入は最初からうまくいったのでしょうか?

今振り返ってみると、未来会計のシステムを導入してからの3〜4年間は、迷走していましたね。お客様一社一社に対してカスタマイズでサービス提供をしていたため、非常に効率が悪くなっていました。お客様の満足度を高めながら効率も重視できる、きちんとした枠組みを作りたいと思いながらも、うまくいっていないのが当時の状況でした。

Q.今では上手く枠組みを作って取り組まれている馳さんにも、迷走時期があったとは驚きです!未来会計が軌道に乗り始めた頃のことも教えてください。

MAP経営さんが開催するセミナー後の懇親会が、今の形を作るきっかけになりました。具体的には、同じように未来会計に取り組んでいる事務所の方々との意見交換や、事務所間の相互訪問などで、生の情報を得ることが転機になりましたね。また、知り合った先生が立ち上げた勉強会にも参加したことで、さらに大きな収穫を得られました。自分の考えていた枠組みに他の先生方の経験・知見を合わせ、未来会計のサービスや定義、料金体系を決めることができました。

Q.株式会社青山パートナーズコンサルティング様における、未来会計の仕組みについて教えてください。

弊社では、過去会計・現在会計・未来会計はひとつの流れの上にあると考えているため、税務顧問業務と未来会計は基本的に同じ担当者としています。また、弊社では顧問業務も含め、縦割りの担当配置ではなく、各クライアントごとに全社から横断的に最適な担当者を組み合わせてプロジェクトチームとしてサービス提供を行うため、複数名が関与する体制としています。監査法人では比較的当たり前な、マトリックスの構造を採用し、担当クライアントを決める方法を、弊社では未来会計にも取り入れたわけです。

支援事例

Q.未来会計を希望されるお客様は、どのような方が多いのでしょうか?

数字の面というよりは、経営全般に対してのアドバイスを求めているお客様が多いですね。会社をよくしていきたいという意欲は持っているが、その方法や仕組みが分からずに、支えとなるものを欲しているような方も多いです。一緒に取り組んでくれる専門家のいる会計事務所を求めて、たどり着いてくれている感じでしょうか。

Q.実際に未来会計でご支援されて、印象に残っている企業様のことも教えてください。

とりわけ借入金の返済・経営の存続について、非常に大きな不安を抱えていたお客様が印象に残っていますね。

将軍の日と未来会計をおすすめしました。取り組みを始める前は、先が見えない将来に不安な様子でしたが、実際に将軍の日で中期計画を作成し、具体的な数字によって先の見渡しができると、不安が解消されたようで満面の笑顔で帰られました。将来の先行きが描けたことに大変喜んでいただけたことが、私としても嬉しく、強く印象に残っていますね。

Q.それは嬉しいですね!馳さんの表情から、ご支援された時のお気持ちを強く感じます!馳さんが経営者様とのコミュニケーションで意識されていることはありますか?

経営者様自身が経営を自分事として実行していけるように、自立を支えることを意識しています。経営支援を始めた当初は、私たちのアドバイスそのものによって、お客様が成功するように、より直接的な・より有効なアドバイスをしようと考えていました。しかし、未来会計に上手に取り組んでいる他の先生方のお話しを伺ってみると、未来会計の本質はお客様自身の力を引き出すサポートであると気づかされました。そこから意識がもの凄く変わっていきましたね。

税務会計の知識があるからこそできる伴走支援

Q.アドバイスではなく、後押しという立ち位置を意識されているのですね。馳さんは、未来会計で最も重要なことはどんなことだとお考えですか?

未来会計は、経営者様が思い描いたイマジネーションを一つでも多く実現させることができるように支援することが重要だと考えています。自社の利益について一番よく考えているのはお客様自身ですが、理想が先行してバランスを崩してしまう場合もあります。また、悲観的に考え過ぎて、自社のチャンスがよく見えないこともあります。

未来会計プランナーは、税務や会計、財務を総合した助言ができることが強みですが、よりビジネス的な視点にたってお客様の経営に本当に役立つヒントを見つけてあげることが大切だと思います。

Q.今後の未来会計のビジョンや目標について教えてください。

未来会計における人材をさらに育成して、お客様に有益なサポートができる仕組みづくりを進めていきたいです。税務・会計といった会計事務所の定番業務に比べると、未来会計はまだまだ成長の余地があります。青山パートナーズでは、スタッフから未来会計に関わりたいという希望があれば可能な限り叶える方針です。私が今までに培ってきたノウハウを他のスタッフに提供し、未来会計を大きく発展させたいと考えています。

Q.これから会計業界を志す学生さんもこの記事を見てくださっています。馳さんが考える、これからの会計業界についてもお聞かせください。

ITツールやAIの技術革新が進み、会計業界を悲観する声もありますが、「そんなに悲観することないですよ」と言いたいですね。

記帳などのルール化された処理は、APIの活用による自動化によって非常に厳しい状況になると思っています。また、生成型AIの活用局面は広く、その進化のスピードも想像以上です。しかし、企業の将来を最適化するためには、経験と知識を含めたサポートが必要であり、そのまま代替されるというより、それらを活かすために徹底したAIやITの利活用が不可欠な局面になっていくと思います。テクノロジーに翻弄されず、むしろこれらを主体的に活用するためにも、まずは会計・税務の知識をしっかり身に付けることが必要だと思います。その上で経験の幅をより広げ、経営者の伴走をできる人材になれれば、未来は非常に明るいと考えています。この業界で一緒に働けるのを楽しみにしています!

未来会計で経営の未来が明るくなる

Q.経営課題を抱える経営者の方に対して、最後にメッセージをお願いします。

是非一度試して頂くことを強くお勧め致します。未来会計によって、経営問題を数字という形に可視化できると、打開策を見つけ具体的な検討を行うために非常に効果的です。また、実行前にその効果の程度もシミュレーションできます。想定外の事態が起こっても、どのくらいのズレか、そのままいくとどうなるかが想定できます。実際に、将来が見えずに不安を抱えていた多くのお客様が、未来会計によって自信と笑顔を取り戻す瞬間を見てきました。お近くの未来会計プランナーに、ぜひご相談してみてください!


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インタビューをした人
黒島