
未来会計を通して社長と一緒に成長していきたい!モットーは楽しむこと!─税理士法人たすき会 吉沢 郁美

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福井県福井市の税理士法人たすき会。未来会計の実践を通じて、経営者と“ともに歩む”支援のかたちを模索してきた吉沢郁美さん。数値の分析にとどまらず、社長の想いに寄り添いながら経営の方向性を導くその姿勢は、経営支援の本質を問い直す気づきにあふれています。支援のあり方に悩むあなたに、ぜひ読んでいただきたい実践ストーリーです。
税理士法人 たすき会
吉沢 郁美 1985年福井県生まれ。福井市南部農協(現在のJA福井県)にて金融・農業・共済部門に従事した後、税理士法人たすき会に入社。巡回監査士として会計監査業務を行う。3年前にMAS監査サービスを本格始動させることになり、職員3名と税理士2名の計5名で事業部を発足。現在、MAS監査担当3件。MAS監査の標準化、事業化を目標に掲げている。 |
未経験で会計業界へ
Q.吉沢さんが、会計業界に入ったきっかけを教えてください。
実は、会計業界を強く志望していたというわけではありませんでした。前職は農協に勤務をしておりましたが、結婚して、生活スタイルに変化があり転職を考えはじめました。その中で働き方や通勤時間などの条件を考慮し、現事務所のたすき会への就職が決まりました。
Q.会計業界で初めての勤務先がたすき会様だったのですね。
そうですね。簿記や会計の知識はありませんでした。農協の仕事をしていた時に、職員試験がありその中の金融系資格を取得していたので、最低限の知識を持っていたくらいでした。そのため未経験でこの業界に入り、仕事を始めた形になります。
Q.たすき会で、はじめはどのような業務をされていたのですか?
まずは、お客様の資料を整理するところからスタートしました。そこから担当先を任せてもらえるようになり、徐々に仕事の幅を広げられるようになりました。
未来会計との出会い
Q.そこから、未来会計にもお仕事の幅を広げていかれたのですね!未来会計を取り組むようになったきっかけも教えていただけますか?
ある日突然、代表の寺尾から「ちょっと話があるから時間になったら応接室に来て」という含みのある呼び出しがありました。呼び出しの際の要件を聞いていませんでした。ちょうどその当時は入社3年目くらいになる頃だったので、急に呼び出されるってことは「私、クビかも・・・」と考え内心ヒヤッとしてましたね(笑)
時間になり、部屋に向かうと私以外の職員もいたので「これはクビではないな」と安心しました(笑)その時に、寺尾から「税理士法人を立ち上げて10周年という節目で、未来会計を事務所の中でしっかりと事業として立ち上げたい」という話を聞き、今まで事務所が未来会計に取り組んでいたということも初めて知りました。
そして未来会計事業の立ち上げの話を聞いた私とほか2人の職員、合わせて3人で未来会計に取り組むことになりました。
Q.未来会計という新しい分野に挑戦することに対して、吉沢さんはどういう心境でしたか?
正直、その時はあまりイメージが湧かず、「何かが始まるんだ!」程度の理解でした。まったく目に見えない状態だったので、言葉だけではどんなサービスかもはっきりわかりませんでしたね。
その時に少しだけ理解できたのは、過去にフォーカスしていた従来の会計業務だけでなく、会社の将来の部分である未来にもフォーカスを当てる業務もやっていくということくらいでした。会社員として、任された職務を全うしようという思いだけはありました。
Q.そこが未来会計プランナーになるきっかけだったのですね。まったくイメージが湧かない状態から始めたとのことですが、まずどんなことから取り組まれたのですか?
具体的に私の持っている能力が活かせるイメージが湧くようになったのは、大合戦の日(未来会計の事業化に向けた実習研修)に参加してからです。
MAP経営の山脇さんという講師から、「社長に未来を向いて経営をしてもらうための手助けをできるのが未来会計だ」という未来会計の本質について教えてもらったことがとてもためになりました。
本質を学んだ後は、実務に活かせるように、自分達が日頃向き合っている決算書の見方を、未来会計視点に変えるところから始めました。具体的には、決算書を会社の経営に活きるように分析し、そこから導き出される会社の現状や今後のリスクを数字で示せるようになるスキルを磨きました。
未来会計を通して得た気づき~社長様に寄り添う姿勢~
Q.初めて未来会計を提供した際のエピソードがあれば教えてください。
未来会計について学びながら、まずは未来会計の価値をお客様へ伝えていくことを実践しました。やはり、実績が1件でもある方が、今後のサポート価値も変わってくると思ってがむしゃらでしたね。
運よく、初めてお声がけした関与先の社長様に契約をしていただけました。「社長様と一緒に未来を考えていきたい。そのために、毎月2時間のお時間ください!」とお願いしましたね。そうしたらその社長が「いいよ」と快く受けてくださり、私の未来会計の第一歩目がスタートしました。
毎月の会議が始まってからは、私も会議の回し方は手探り状態でしたが、社長様と一緒に成長させてもらいたい!という気持ちで取り組んでいましたね。
Q.未来会計を提供していくなかで、吉沢さんの中で気づきや変化があれば教えてください。
未来会計で大事なことは、社長様に寄り添う姿勢だとわかりました。日々会計業務に携わる身としては、正しさが重要なので、社長様と向き合うときも、ただいい方向に導かなきゃ、というスタンスが無意識のうちにあったと思います。
そのため、税務のみに携わっていたときは、「教える」という上から目線になってしまいがちでした。未来会計でもそのスタンスをこちら側が続けてしまうと、「確かに吉沢さんの言っていることはその通りだけど、そうは言っても…」という具合に、社長の話が止まってしまい、はじめは反省しましたね。
未来会計は社長の考えを引き出すことが大切なので、社長に寄り添って話を聞くことを意識するように変わりました。
Q.社長に寄り添って話を聞くことに未来会計の価値があるのですね。企業様側の変化や、具体的なエピソードがあれば教えてください。
歯科クリニックを営んでいる会社に、未来会計で携わることがありました。そこでは院長先生と奥様、息子様が中心になって話し、私は話を聞き役に徹する役割に自然となっていました。その時に気がついたのは、「未来会計で関わる私の役割は舵取り約に徹するだけでよい」ということです。
少し話がそれた時に戻す程度で、私が参加するだけでも十分意味があることに気が付きました。それだけでも、社長は素直に自分で前を向いて進んでくれます。私の役割は、社長の隣に寄り添い、一緒に前を向くことに尽きるなと感じました。
そこに気付いてからは、パワーポイントで資料を作成して一生懸命説明するというスタンスはやめました。はじめは提案が必要かもしれませんが、未来会計の価値は提案だけではないことに気付かされましたね。
これからも未来会計業務に取り組んでいく中で新たな発見があると思うとワクワクしますし、自分自身でも成長や変化を楽しんでいます。今までとは違う視点が持てて、新たなサービスが提供できることに喜びを感じています。
Q.企業様側が自走できるようになるサポートをされているのですね。他にも印象に残るサポート企業様はいらっしゃいますか。
先代の社長から事業を引き継いだ若い社長様が印象に残っていますね。将軍の日(中期5ヵ年計画立案セミナー)に年に2回も参加してくださっているんです!もともとは、事業を承継される前、当初先代の社長に未来会計のご提案を差し上げました。
「事業承継のお悩みを解決していくために、未来会計でご支援させていただきたい」とお伝えして未来会計が始まった流れですね。未来会計の会議には、社長と、事業承継を控える息子さんにも参加していただきました。息子さんは、当時は社員さんとして勤務されていましたが元々は別会社でご経験を積んでいた方なので、会社の決算書を見ることもあまりないような状況でした。
最初は決算書を読めるようになるところからのスタートでしたが、今では利益率など、経営に直結する数字にまで踏み込んで積極的にお話しをしていますね。我々のサポートだけではないと思いますが、未来会計で会社の経営のことを毎月考えるようになり、息子さんご自身が「これから事業を承継して、経営をしていく」という覚悟を持たれるきっかけになったのではないかな、と思います。
会計業務の税務についてだけでお話するだけでは数字のことだけになってしまい、よりご支援をしたいと思ってもできないもどかしさがあります。未来会計があることで、この時間は社長の悩みを存分に聞いて考えられる時間だ!!と気兼ねなくお話しすることができます。
このようにサービスとしてあることで、双方にとっていい時間になっていると思いますし、わたし自身はとてもいい時間だと感じています。
未来会計というワードが近くに来ている、まさに今「未来会計」を始めるとき!
Q.後継者の方がどんどん前向きになっていく変化も、未来会計の醍醐味ですね。ずばり、吉沢さんが未来会計をやり続ける理由やこれからの目標をお聞かせいただけますか?
一番は社長の支援をしたいという気持ちです!それは、未来会計の本質が自分なりに見えた時から変わらない気持ちです。
私が今後も未来会計に携われる以上は持ち続けていきたいと思っています。今後は社長が掲げた5年後の目標を必ず達成して、その景色を一緒に見ることを目標に頑張っています。
現在、3社の会社に未来会計を通してサポートさせていただいています。その社長様と、「あの時立てた目標達成ができましたねやりましたね!」と喜びを共に分かち合いたいです!社長にも未来会計を通して会社の経営の変化を楽しんでいただきたいですし、私にとってもそれが喜びです。私自身もさらにレベルアップして、サービス提供できる幅をもっと増やしていきたいです。
Q.未来会計を自社の経営に取り入れようか迷われている方へ、メッセージはありますか?
未来会計はやった方がよいと断言します!どういった理由で踏みとどまってしまうかは、皆様それぞれあると思います。ですが、始めてしまえばなんでこんなことで悩んでいたんだろうと思うのではないでしょうか。早く始めた方がいいです!(笑)
未来会計は第二象限という重要だけど緊急ではないものに分類されることが多いです。そのため、緊急性の高い仕事に追われてしまうと、大事なことだとは分かっているけど、今、お金を払ってまで未来会計を自社の経営に取り入れるべきか考える社長も少なくないです。
未来会計を取り組んでいくうちに、料金以上の価値を感じるのは間違いないと私は言い切れます!月2時間、経営のことだけを考える時間は本当にあっという間に過ぎてしまいますから。 未来会計というワードが近くに来ている時こそ、まさに今未来会計を取り組む時だと思うんです。
経営者の方は、会計事務所の人から突発的に未来会計の話があるかもしれませんが、それにはきちんと理由があります。会計事務所目線で見ると、未来会計があれば、この会社の社長は今よりもっと前進できると思っているといっても過言ではないでしょう。ぜひ未来会計で、会社の明るい未来を描き、そこに向かって邁進していきましょう!
