
未来会計が生む“安心感”をもっと多くの経営者に──ベイシック経営株式会社 窪山弘之

目次
福岡県北九州市のベイシック経営株式会社の窪山弘之氏は、コロナ禍以降の不確実な経営環境においても、未来会計の力で企業の立て直しを支援してきました。企業の理想像を数値で可視化し、月次の振り返りで課題を特定します。日々の判断や行動に迷わない経営環境づくりを支援しています。経営者一人では抱えきれない課題に、数字と対話で寄り添います。
半田税理士事務所
ベイシック経営株式会社
株式会社農業経営支援センター 取締役
窪山 弘之 奄美大島出身。大原簿記公務員専門学校小倉校を卒業後、2010年6月に半田税理士事務所に入社。農業のお客様が多い税理士事務所で、入社後は監査業務を中心に行う。6年前からMAS監査業務の事業化を進めている。農業をサポートするプラットフォームを構築するという目標があり、日々奮闘中。
現在、税務担当件数 30件 MAS監査担当件数 5件 |
好きから勉強を始めた簿記
Q.会計に興味を持ったきっかけを教えてください。
直接のきっかけは、職業訓練校で学んだ簿記です。私は奄美大島の出身なのですが、高校時代に体調を崩してしまい、大学への進学を断念しました。高校卒業後は石川県で働いていたのですが、その後、奄美大島に帰郷することになり、退職しました。それからは、地元で新たなスタートを切るために、職業訓練校に通うことを決めました。もともと文系の人間でしたが、なぜか数学や数字が好きだったんです。そのため職業訓練校に通って簿記を学ぶうちに簿記の面白さに目覚めました。
Q.簿記を勉強することから、どのように税理士という仕事に繋がっていったのですか?
簿記を学ぶ過程で税理士という資格があると知り、北九州にある専門学校に入学しました。そこで税理士の資格を取得し、現在の職場であるベイシック経営株式会社に就職をしたという流れです。
過去会計から未来会計へ
Q.入社後には、どのような業務を行っていたのでしょうか?
入社して5年間ぐらいは、税務会計をメインに行っていました。お客様から月次の書類をお預かりして、試算表をもとにお話をさせていただくという内容です。正直なところ、税金の計算はあまり得意ではなくて…。ですが、お客様と一緒に予算を考えながら、これから何をしていくかを話す時間がすごく好きでした。わたしは、税理士の勉強はしていましたが、実務経験がゼロからのスタートで業務に取り組んでいました。そのため業務を処理することなどに時間がかかり、最初の3年間は本当にきつかったです。
Q.当時は、会計の仕事に対してどのような魅力を感じていましたか?
税務会計がメインだった最初の3年間は業務をこなすことに必死で、仕事に魅力を感じる余裕がありませんでした。厳しい印象がとても強かったです。しかし、お客様と今後の売上についての予算を立てたり、取り組み方についての相談をしたりする時間が得られるようになると、楽しみを感じられるようになってきました。
Q.未来会計を推し進めることになったきっかけについて教えてください。
未来会計を提供したときにお客様からいただいた「本当に良かった。ありがとう。」という言葉がきっかけです。過去会計のような税務会計では、税理士として当然の業務をこなしている感覚が強く、お客様から感謝の言葉をいただく機会はあまりありませんでした。しかし、あるとき雑談の流れから提供が決定した未来会計が、お客様に対する1年間の道しるべとなり、企業の利益拡大につながりました。
その経験を通じて、「もっと未来会計を拡げていきたい」と強く思うようになりました。以前は、過去の数値をもとに形式的に予算を立てることが多かったのですが、未来会計を通じて、お客様と一緒に未来を見据えた予算を作り上げていくことができるようになりました。
Q.実際には、どのような未来会計のサービスをお客様に提供しているのでしょうか?
弊社では、「ワンデークルーズ」という名称で、未来会計のサービスを提供しています。お客様を弊社にお招きして、日常とは違った空間の中で自社のことについて1日ゆっくり考えていただきます。未来会計プランナーは、お客様の考えをもとに中期計画や単年度計画などを作成します。
また、毎月1回お客様にご来社いただき、達成状況や進捗状況を一緒に分析する継続的な未来会計も含まれています。その際に、よかった点・悪かった点を明確にしています。課題点が明白になったら、翌月以降の行動に繋げていくといった内容です。
未来会計の価値
Q.「長期計画」と「単年度計画」に関して、詳しくお聞かせください。
「長期計画」では、まず「売上が2倍になっている」や「利益が2割拡大している」といった、お客様が描く5年後の会社の姿をお聞きします。そこから未来会計プランナーが具体的な数値計画を作成します。未来の姿から逆算しながら単年度の計画に落とし込んでいきます。
「単年度計画」では、1年単位の計画を立てます。長期計画をもとに1年後の目標値をお客様からお聞きし、そのためには何が必要か具体的な行動計画を立てる作業を行っています。
Q.未来会計の効果を実感できた事例について教えてください。
数値的な面で、未来会計における効果の大きさを実感できた事例があります。1200万円の損失を抱えたお客様から、未来会計を行って数値の改善を図りたいという強いご要望がありました。
まずお客様には現状把握などの作業を行ってもらいました。その後、未来会計の具体的な施策を行ったところ、1年後には損失を失くすことができました。そのお客様は長期的に未来会計を継続していただいておりますので、価値を感じてくださったのかと思います。
Q.お客様から見た未来会計プランナーという存在の価値とは、どのようなものだと思いますか?
「安心感」だと思います。予算を立てて実績を確認しようとしても、経営者様ひとりでは手が回らないことが多いものです。しかし、未来会計プランナーが一緒に数値を見ることで、経営者の方が気づけなかった課題や問題点を見つけることができます。
さらに、月1回の面談をすることで、日々の業務の優先事項を整理する時間にも使っていただけていると思います。意思決定までの時間を短縮でき、経営以外の営業活動等にも時間を割くことができます。精神的な面と時間的な面で得られる安心感に、価値を感じていただいていると思います。
Q.未来会計プランナーとしての専門性を磨くために、どのような努力をしていますか?
「お客様の声にしっかり耳を傾けること」を大切にしています。未来会計プランナーの役割は、お客様が思い描く理想の姿を実現するために、伴走しながら支援していくことです。そのためには、表面的な課題内容だけでなく、根本的な内容にまでたどり着けるようにしなければいけません。視点を変えながら丁寧に掘り下げてお話を伺い、お客様の課題や想いを引き出せるよう努めています。
Q.未来会計プランナーに必要な知識とは、どのようなものでしょうか?
管理会計の知識は、未来会計を行っていくうえで欠かせないものだと思っています。例えば、私が未来会計を提供しているお客様は農業関連の企業が多く、作物ごとの品目ごとに原価管理が必要になってきます。そのため、的確なサポートができるよう、個々の品目においても、生育までにかかる費用や売価についての知識を得るようにしています。お客様の課題解決に必要な知識を持つことは、未来会計を行うサポートに必要だと考えています。
様々な分野の経営に携わることができるのは未来会計があるから
Q.未来会計プランナーから見た、会計業界の将来性について教えてください。
過去会計は、今後縮小傾向になっていく分野であると思っています。一方で、未来会計は、高い将来性がある分野であると思っています。未来会計は、これから中小企業の経営者の方々が取り入れていく必要が出てくるものであり、実際にも取り入れられていくと確信しています。
Q.未来会計プランナーとして、今後の目標について教えてください。
お客様のあるべき姿というものを、1つでも多く実現していくことが今後の目標です。会社のあるべき姿については、容易に達成できるものと達成が難しいものなど、いろいろなものがあると思います。未来会計プランナーとして経営者の方に寄り添うことで、お客様の要望をできるだけ多く実現していきたいと思います。
Q.これから未来会計プランナーとしての活躍を目指している方に、未来会計プランナーの魅力についてお話しください。
中小企業の経営者の方をサポートし、事業を成功に導けること。さまざまな経営者の方と一緒に伴走をすることで経営を疑似体験できること。これこそが、未来会計プランナーという仕事の大きな魅力だと感じています。例えば農業であったり福祉事業であったり、系統の違う分野の経営を数多く体験できる職業は、未来会計プランナーならではだと思っています。「一つの業界にとどまらず、幅広い分野の経営に触れながら、経営者の視点で物事を考え、支援できる」そんな経験ができる職業は、他にはなかなかないと思っています。
Q.厳しい経営環境の中で奮闘されている経営者の方に向けて、メッセージをお願いします。
未曾有のコロナ渦が明けたとは言われていますが、借入金の返済等により、財務状態が厳しい経営者の方が多くいらっしゃると思います。しかし、現状を正しく分析をして中期計画をしっかりと立てることで、次に必要なアクションを見出すことができます。ぜひとも御社の中に「未来会計」という仕組みを導入していただき、どのような外部環境にも左右されない強固な企業体質を一緒に作っていきましょう。私たち未来会計プランナーが、全力でサポートさせていただきます!
